SUIRYO 翠陵 vol.86
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06SUIRYO 86活動指針は「ゆらちょうを、100年先へ」私が生まれた和歌山県由良町は、年々少子高齢化が進む人口6000人に満たない小さな町です。このままでは、「由良町」という行政区分はなくなり、「ゆらちょう」と言う慣れ親しんだ言葉の響きも聞けなくなってしまうと思ったのが、起業するきっかけとなりました。「ゆらちょう」という言葉はもちろん、人々の希望とともに地域の文化を未来へとつなぎ伝えるために、「株式会社ゆらちょう」という名の会社を立ち上げました。「にんにく栽培」で、特産品としての復権を図る起業後すぐは、デザインやイベントの企画、運営を通じて和歌山県由良町の観光PR、広報活動を業務としました。そんな私たちの仕事は、産業による円滑な経済活動が雇用とともに、人々の日々の暮らしを支え、さらに発展していく過程でより必要とされるものです。しかし、残念なことに地元由良町では、毎年およそ100人もの人口が減り続け、高齢化率も上昇する一方でした。そんな「新たなる産業の創出」の必要性を感じていたことと、元々由良町ではにんにくの栽培が盛んだったものの、地域の過疎化や農家の高齢化に伴い収穫量が減り心痛めていたことを契機に、チャレンジする一心で、企業として向かう先の舵取りを大きく変えることにしました。熟成『黒宝にんにく』で“ゆらにんにく”を全国へ現在は、昭和30年代半ばから生産されている由良町の特産品である「にんにく」を広めていくために、にんにくの生産・販売と、40日かけて熟成させた「黒宝ゆらにんにく」という黒にんにくの加工・販売をメインで行っています。将来的には、ここで培った販売方法や知見を活かして、ほかの商品も販売していきたいと考えています。チャレンジすることの大切さを感じながら過ごす日々大学在学中は、文化会本部と学生団体協議会という、「神戸学院大学」の課外活動を支える組織に属して、イベント企画や広報について学ぶと同時に、その楽しさを知る貴重な時間を過ごしました。起業以前には、学習塾で総合職として働き、講師職も並行して行っていました。教科主任・校舎責任者・エリア責任者の審査に合格し初めて生徒への授業ができるので、何度もビデオチェックを行い、合格をもらうまで粘り強く挑戦しました。現在もコロナ禍前までは、弊社の商品を置いてもらうために、実際に足を運んで商品プレゼンを粘り強く何度も行いました。そんなこともあって、『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も』という江戸時代屈指の名君と言われる上杉鷹山のチャレンジすることの大切さを説く言葉が好きです。実際、起業したことで、会社法や会計学、食品衛生法など、さまざまなことを学びました。これからも、チャレンジ精神を忘れずに、仕事にプライベートに取り組んでいきます。株式会社ゆらちょう 代表取締役食品製造業2014年・人文学部卒井上 慶祥さん23歳で、株式会社「ゆらちょう」を起業。イベント企画、運営の他、デザイン業を通じてふるさと和歌山県由良町のPR活動を開始。現在は、由良町のにんにくを生産・加工・販売しています。いのうえのりあきふるさとの和歌山県由良町で起業その文化や人を未来へと繋ぐ起業家スピリットにあふれる同窓生の「今」をご紹介します。若 手 起 業 家 応 援 !

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