SUIRYO 翠陵 vol.86
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人に寄り添い、地域と社会に貢献する同窓生の「今」をご紹介します。若 手同窓生07SUIRYO 86日々課題と向き合いながら、自らの成長を期待地域の医療機関・関連機関の窓口となり、地域連携の充実・推進と、患者様とご家族の医療に関する相談・退院支援を行うのが病院内に設置された「地域連携室」です。私は、その「地域連携室」に社会福祉士の国家資格を有する医療ソーシャルワーカーとして勤務し、ようやく3年目を迎えます。日々、医療現場の中で社会福祉的な視点から相談援助業務を行うのが私の主な仕事です。入院を機に身体機能の低下をはじめ、医療的ケアの継続から経済問題まで生活するうえでのさまざまな課題を抱えることで、これまで通りの生活は望めず、慣れ親しんだ居住場所まで変える必要に迫られることにもなりかねません。その際に、患者様とご家族の思いを確認しながら、生活するうえでの課題の解決を一緒に目指し、多職種と協働して退院調整を行っています。また、必要に応じて社会保障制度の紹介も行い、安心して退院していただけるように支援を行っています。患者様の生活全体を見ることで、最善をつくす職務身体機能など、患者様を見てわかることには限りがあります。社会的背景や患者様とご家族が人生において何を大事にされているのかということにまで思いを馳せて、その人らしい人生を送っていただけるように支援することが求められます。そのため、多職種との連携で私たち医療ソーシャルワーカーの果たす役割は重大です。医師、看護師、リハビリ職はそれぞれの視点から患者様を見ますが、医療ソーシャルワーカーは患者様の生活全体を見ることでその職責を果たします。傷病や要介護の程度によっては、希望される退院後の生活を実現することが難しいような状況に置かれる患者様もおられます。その中でも、患者様・ご家族・多職種と何度も協議を重ねて退院まで調整できたとき、患者様・ご家族から感謝の言葉をいただけると、最善を尽くすことができたひとまずの安堵とともに、やりがいを感じます。在学中に、勇気を持って一歩を踏み出すことを学ぶ大学在学中の経験で、障害分野でヘルパーのアルバイトをしていたことが、現在の仕事に役立っています。障害・疾患だけを見て関わるのではなく、患者様一人一人と向き合いながら本当に必要としている支援は何か、客観的に捉えようとする姿勢はソーシャルワーカーとして重要なことであり、このことを学生時代に身をもって体験できてよかったと思います。医療分野での実習は大学3年次生で初めて経験しました。そのときに、初めて医療ソーシャルワーカーの現場を目の当たりにして、自分には向いていないのではと戸惑い悩みました。所属ゼミの先生に相談した際に「実際にやってみないと、向いているかどうかは分からない。やる前から諦めるのではなく、とりあえずやってみることが大事ではないか」とアドバイスをいただいたことで今があるように思います。仕事で悩んで行き詰まったときも、この言葉を思い出して「とりあえずやってみよう」と勇気を振り絞って一歩を踏み出すことを心がけています。医療ソーシャルワーカー (社会福祉士)姫路聖マリア病院[地域連携室]勤務2020年・総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科卒田中 志歩さん人の心に寄り添いサポートする仕事に魅力を感じていたことから辿り着いた社会福祉士という職業。悩みごとについて患者様とそのご家族と共に考え、解決までサポートするという役割に惹かれたのがこの仕事を選んだきっかけです。たなかし  ほ医療ソーシャルワーカーとして迎える3年目の春地域で活躍する

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