新たな価値が生まれるのです。そのようなことを実感してもらうためにも、地元企業や地方自治体に協力していただき、さまざまな事例にふれる機会を多く設けて、生きたデータを扱う経験を積んでほしいと思っています。インターネット上にあるデータが指数関数的に増え続けるなど、私達は情報大洪水と呼ばれる社会で生きています。画像データ、クチコミのデータ、購買履歴のデータなど数字にならないようなデータも数多くありますが、マーケティングでは普及率をロジスティック曲線に当てはめて考えますし、暗号化の研究では関数の考え方が用いられるなど、データサイエンスでは数学の知識がベースになっています。こう話すと、理系が強い学生が向いていると思われそうですが、先に述べた通り、データサイエンスはこれから社会に出ていくすべての学生に求められる素養です。「私は文系だから・・・」と躊躇する学生もいるかもしれませんが、二次方程式くらいならアプリが代わりに解いてくれますし、数年経てば、「アレクサ、○○の計算をして」と頼めば複雑な計算も答えを導き出してくれるかもしれません。数学が不安な学生にも丁寧に教育していくので、安心して学んでほしいと思っています。 データサイエンス専攻では、学部の枠にとらわれず、心理学部などいろんな学部の教員とも連携して、学ぶことが一層楽しくなるような授業を提供できればと思っています。机に座って勉強することも大事ですが、自分たちで主体的に考えて行動するアクティブ・ラーニングを今以上に進められたらいいですね。学部を超えた横断的な学びを提案できるのは、10もの個性的な学部を持つ、神戸学院大学だからできることです。このメリットを生かして、学生には自身の専門だけでなく、教養と呼ばれるさまざまなジャンルの知識をたくさん身につけてもらって社会に出てほしいというのが私の願いでもあります。また、生きたデータに触れることができるような産学連携も積極的に進めていきたいと考えています。データを取り扱う仕事をされている同窓生の方々にも、ぜひ協力していただければと思います。学生の前で、詳細な仕事内容や現場の苦労を語ってもらいたい。データを利用してこんな取り組みを考えていたけれど、規制やルールの面で叶わなかったので別の対応策を講じた・・・など、リアルな声をぜひ聞かせていただきたいですね。神戸学院大学では、全学的なカリキュラムとしてデータサイエンス教育に取り組み、文部科学省が定めるリテラシーレベルの認定取得を目標にしています。データサイエンス専攻では、経営学を軸にした事業戦略に役立つデータサイエンスの知識やスキルなど、実社会で役立つ武器を在学中に身につけることができる強みがあります。データを正しく科学的に分析し、その成果を社会に還元できる経営学的視点を兼ね備えた、複雑な情報社会を牽引していくような人材を育成できるよう精一杯努めていきたいと思います。10SUIRYO 87
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