SUIRYO 翠陵 vol.87
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since 101SUIRYO 87学校法人神戸学院の創立110年の歴史を振り返る資料展が、ポートアイランド第1キャンパス図書館で開催されました。当時を知る資料の多くは、阪神・淡路大震災で焼失してしまいましたが、同窓生である寺村洋子さんの祖父母が保管されていた、歴史的資料に匹敵するような貴重な写真や文書などもお借りすることで、歴史の重みが伝わる見応えのある展示となりました。学校法人神戸学院の歴史は、1912年に校祖である森わさが、現在の神戸市兵庫区で森裁縫女学校を設立したところから始まります。若くして夫と死別し、自分が子ども達に十分な教育を与えることができる経済力を身につけなければと考え、幼子3人を兄に預けて故郷の淡路島から上京。裁縫学校に通い、教師を目指して勉学に励みました。当時の日本は近代国家として発展途上にあり、女性の地位はまだ確立されていませんでしたが、教師として働くうちに「日本の成長は、しっかりと腹の座った女子を育てることにある」と考えるようになり、理想の教育を実現するために自身で学校を開きました。最初は生徒8人からの出発でしたが、「女性たちが不幸な境遇になっても自力で這い上がれる力を養い、不幸に負ける女性をなくしたい」と思索を深めながら全身全霊で教育に取り組むことで次第に規模を拡大し、学生・生徒数約1万2,000人に上る今日の学校法人に発展する礎を築きあげました。学校法人神戸学院創立110年の歴史を振り返るHISTORY OF KOBE GAKUIN貴重な資料で校祖・森わさの情熱と奮闘を伝える特集

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