SUIRYO 翠陵 vol.88
13/32

12SUIRYO 88また、静かで快適な生活環境を求める個人の意識の高まりに伴い、個人からの依頼も法人と比べて少ないながらあったのもこの頃でした。創業以来、B to B の業務展開をしてきましたが、直接、一般消費者への提供をビジネスモデルとする B to C もやってみようと考えるようになっていました。 そして、2020年12月に初のコンシューマー向け防音製品で防音パーソナルスペース「be Base」が誕生。開発が始まったのがコロナ禍の3年前で、奇跡的なタイミングでの発売となりました。売る手立てを何も考えていなかったにもかかわらず、注文が続々と入ってきました。記念すべき納品第1号は有名なアニメで主人公として出演されている声優さんのお宅でした。楽器演奏に対応できるパーソナルな防音スペースにしようと考えて開発を始めた製品でしたが、SNS発信が全盛の今、インスタグラマーやYouTuber、さらにはゲーマーのお客様の購入や問い合わせも多い現状です。企業からの問い合わせも多く、一つの会議室に数台設置して、随時、テレワークやweb会議に対応できる多機能・多用途会議室として運営されているようです。納品先も増加の一途で、大学や病院などありとあらゆるところに納品しました。開発した私たちが思っても見ない部分でお客様のニーズを満たすものとして活用されてもいます。拡張等のオプションや仕様のヒントをお客様からいただくこともあります。私たちにとってはかけがえのない経験の蓄積となり、新たなノウハウを得るに至っています。日頃から売る側も買う側も対等な関係と思っていた私にとっては嬉しいことでした。見えないところで、日々の生活に、社会に貢献北海道で思いがけないこともありました。北海道南部の長株式会社鐡工社ブルの関連会社として、京都市西京区に設立。鐡工社ブルのアルミ建材業で培った技術を活かし、アルミ製吸音パネルの開発・製造に取り組み、独自の防音システムを作り上げる。大手製造業、官公庁・学校法人等、全国規模での導入実績を誇り、2020年には初の一般消費者向けに防音パーソナルスペース「be Base」を発売。音を取り巻く社会のニーズに技術と経験で応える株式会社ブルアンドベアBull & Bear Inc.万部町で轟音とともに30メートルの水柱が噴き上がり続けたことがあり、無償で防音対策を施させていただきました。重機の入らない山中での作業になり、アルミ製の防音パネルなら軽く取り扱いや組み立ても容易なので、日本の防音対策を専門とする企業は多くても、うちしかできないと思い地元の役所にいち早く連絡を入れ、設置させてもらいました。見返りを求めず無償で行ったことでしたが、嬉しいこともありました。当社に職業体験できた女子中学生の祖母が北海道にいらして、当社の記事が載った北海道新聞をわざわざ送ってくれたものをその子が持参し「社長にプレゼントします」と言ってくれたことがありました。実は、北海道はかけがえのない知見を得た地でした。創業後の試行錯誤が続く頃で、まだプレス機の知見がなかったときに、北海道で3500トンという大型プレス機の防音対策を手掛けることになり、北海道大学と連携して半年かけて納品に漕ぎ着けたことがありました。なかなか人が立ち入れないところに入る機会が巡ってくるのも当社です。潜水艦内部にも入りました。その際の依頼は、乗員の居住空間を快適に保つための防音対策を求められたことでした。他にも、我が社の防音対策を施した工場が日本の各地にある大手製菓会社もあります。できあがったチョコなどお菓子を型から篩い落とす工程で結構な音がするので、当社の出番となりました。会社は京都にあっても、個人や一般消費者向けの「be Base」では、webを通しての問い合わせや注文もあり、お客様との距離は実際には近いと思っています。従来の法人向けでの施工・設置でも、人の見えないところで普段の暮らしへのかかわりがあり、社会全般に貢献できていると自負しています。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る