SUIRYO 翠陵 vol.89
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13SUIRYO 89神戸学院大学現代社会学部社会防災学科の学生で構成する「防災女子」は、2014年6月、同学科創設からわずか2カ月後に学生たち自らで結成。2024年には結成10周年を迎えました。学内外のさまざまなイベントへの参加や親子で参加できる防災料理教室の開催など、「防災女子」の活動は高く評価されています。災害時の食事の作り方や備えの大切さなどの啓発活動に取り組み、卒業生として社会に「防災女子」OGを多く輩出するまでになりました。このたび、現役の学生のメンバーから、結成10年を迎えた現在の活動と今後の展望、卒業生からは、社会人となった今思う防災に対する思いなどを伺いました。■コロナ禍で人との距離は遠く、その中で学んだこと山室 2021年に入学し「防災女子」に参加しました。当時は、コロナ禍でさまざまな制限がある中で活動をしました。私がリーダーとして、災害食のワークショップを実施したのは、2年次生の秋でした。しかし、「災害食」の紹介はできても、試食の提供は自粛を余儀なくされ、うまく伝えることができません。展示ブースなどで大きな声で紹介をしても、人との距離が遠く、広々とした空間で私たちの思いは届いているのかと不安になることも。それでも、あるイベントの際に主催者の方から「いろいろな制限の中で厳しいこともあるけれど、こうした時でも活動を続けること自体が大切なんだという気持ちを持っていてほしい。前を通る人にもきっと何か役に立つことがあるはずだから。」とアドバイスをいただき、私たちの思いを聞いてくださる方のお役に少しでも立てるよう、精一杯伝えることを考えて活動できるようになりました。安福 2024年の春頃に参加したイベントでは、話しかけても誰にも立ち止まってもらえませんでした。単に自分のやりたいことを話すだけでは伝わらないことを実感。今では、日常的な会話や普段馴染みのある言葉から話しかけてみて、続けて話を聞いてもいいと思ってもらえるような雰囲気を作ってから、会話をするようにしています。いきなり「防災」の話をするのではなく、話を聞いてくださる方の日常に少しでも歩み寄り、その中で取り入れてもらえそうなことを提案してみるということを学びました。■災害時にこそ「いつもと変わらない食事」がコンセプト山室 イベントの際、野菜ジュースを用いて蒸しパンを作ると、野菜が苦手な子どもでも食べてくれたという感想を聞きます。「災害食」でも苦手なことを克服できたと喜んでくださることがうれしく、「野菜が苦手なお子さんにいかがですか」と勧めています。また、「今度は友達と作ってみる!」と言ってくれる子どもたちもいます。「防災」という言葉は硬いイメージがありますが、啓発活動の場では、そんなイメージを払拭することも私たちの役目だと考えています。ポリ袋を使っての調理は時短にもなり、家庭で楽しく作れるお料理として取り入れてもらえれば、山室 亜衣さん〈現代社会学部社会防災学科4年次生、2024年度リーダー〉CURRENT STUDENT安福 瑞希さん〈現代社会学部社会防災学科3年次生〉CURRENT STUDENT「防災女子」が結成から10年Topics防災に女性の視点を入れた啓発活動に取り組み続ける今とこれから

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