同級生インタビュー

同級生インタビュー

Interview

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2024.1.11

社会福祉法人事務などを経験し、福祉業界の虐待防止に取り組むMisaki oasis labを設立。

上山 浩一 さん  2012年 法学部卒業
人生を支える神戸学院大学での学び

神戸学院大学での学びは、私の人生の支えになっています。早朝から運送会社で荷物の仕分けをするアルバイトを週6日、その後に大学で講義を受け、図書館で研究をし、夕方になると地域の児童館などで人形劇や紙芝居などを披露して子どもと交流するS.S.Wの活動に参加。裁判の傍聴や弁護士会のシンポジウムに登壇して死刑制度について討論、学会や研究会に参加して学者や弁護士に混じって最新の研究動向を学んだりと、今考えると本当によくやっていたなと思うくらい多忙で、充実した学生生活でした。そして、厳しい現代社会を生き抜くための感覚や、自分にとって何が一番大事なのかをとらえる判断力は、神戸学院大学の学びで培われたと思っています。

衝撃を受けた少年院参観

高校時代に児童福祉施設の参観をしたことで児童福祉分野に漠然と興味を持ち、大学では子どもに関係する少年司法を中心とした刑事法学を研究されている佐々木光明先生のゼミに入りました。ゼミでは刑務所参観があるのですが、沖縄少年院に行ったことがとても印象に残っています。大きな塀や有刺鉄線もあるかなり昔ながらの佇まいで、入所しているのはおおむね12歳から20歳の少年たちなのですが、私にはその年齢には見えないくらい幼く感じられました。悪いことをしたから少年院に入ったと世間では言われます。
しかし、佐々木先生のゼミでは生まれながらの生活環境、社会環境といった成育歴や、罪を犯した背景についても考えるので、少年たちが健気に罪を償う様子を見て、感極まってしまいました。現場に飛び込み、見て、触れて、聞いて、においを感じることで、机の上だけでは決して得られない気づきを得ることができた貴重な経験でした。
また、3年次生に受けた福嶋敏明先生の憲法学の講義では、学問を楽しむきっかけを与えていただきました。講義後にふと「国家はどのようにしてつくられるのか?」という疑問を抱いて研究室を訪れたのですが、福嶋先生はとても詳しくご教授くださいました。イギリスの思想家・ホッブズの社会契約説など、高校時代はただその単語を暗記しただけの事柄も、自分なりに研究するのが大学生としての本分で、クリティカルシンキングが必要なのだとワクワクしたこと、学んだ理論を社会で活用することの意義を実感したことを今でも覚えています。

福祉の問題に真正面から向き合う

憲法や法律についての学びを深めた私は、一念発起して研究者になるべく広島大学大学院に進学します。研究や社会改革をしたくて進学したものの、論文を書いたりしても何か言葉遊びをしているように感じて、次第に何か社会の役に立つことがしたいと考えを巡らせるようになり、福祉の世界に飛び込みました。
重度の障がいのある方の生活支援員や社会福祉法人事務を経験する中で、さまざまな福祉業界の課題や疑問を目の当たりにするようになりました。さまざまな研修や学会に参加すると、私が所属していた事業所法人だけでなく、全国津々浦々の介護施設等で同じような虐待の問題や悩みを抱えていることがわかり、福祉業界を外側から変えていく必要性があるのではと考えるようになりました。
食事介助や入浴介助といった日々の業務も、本来ならばご利用者様の快適さを追求するべきなのに、人材不足や忙しさもあり、支援をする介護職員の都合優先。まるでベルトコンベアのように進められている施設もあります。福祉はサービス業であるはずなのに、現場ではサービスができていない。福祉業界が抱えている大きな課題に対して、真正面から向き合いたい。福祉はサービス業という考えを改めて介護職員や社会に提示することで、虐待や不適切なケアをなくしたい。福祉業界をもっとワクワクするクリエイティブな世界にしたい。そんな思いが次第に強くなり、Misaki oasis labを立ち上げることを決意しました。

同窓会報「翠陵87号」より抜粋

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